2011年10月16日日曜日

糖尿病患者は2倍ボケやすい -久山町研究

九州大がやってる疫学研究で「久山町研究」てのがあるんですよ。
久山町って街で、生活習慣と病気がどう関係しているかを50年にわたって調べ続けてる

久山町ってのは人口比率とか、職業構成とかが日本の平均に近いそうで、ここで起こってることはおおくの日本人に適用できそうってことと、かなり詳細な調査(たとえば久山町でなくなった方は8割くらいが解剖されて死因が究明されてます)が行われてるってことで、医療者や医学研究者の間ではかなり有名な研究なんですな。

その研究の一環として、60才以上の「認知症ではない」と判定された人を15年追跡調査してみたら、どうやら糖尿病、どころか「糖尿病の手前」といえる耐糖能異常でも認知症発症リスクが高くなってたというお話。

Glucose tolerance status and risk of dementia in the community The Hisayama Study  
Neurology  2011:77.12 1126



報告によると、血糖値が正常な群と血糖値が高い群を比較すると、高い群で明確に認知症患者が増えていたという。

この試験中に232人が認知症になっていたが、このうち糖尿病群では認知症で1.74倍、アルツハイマー病で2.05倍、血管性認知症で1.82倍で認知症になっていたという。
特に、食後血糖値が高い群で認知症が多くなっている傾向があったとのこと。


血糖値の異常ってのは「空腹時血糖値」「食後血糖値」とかいろいろあるんだけど、調査した中で一番影響が大きかったのは「糖負荷後2時間後血糖値」という、よく知られてるけど面倒なのであんまやられてない試験だったそうで。


「糖負荷後2時間後血糖値」ってのは、本格的な人間ドッグで、食事抜きで来させられて砂糖かクソ甘いアイスのできそこないっぽいの食わされて、2時間後に採血される試験やったことある人いない? アレですよアレ。
飯食うと自然に血糖値が上がるようになってるんですが、そこでガッと上がった血糖値がスムーズに下がるかどうかを調べてる試験です。
これが高いとなるとインスリンの出が悪いか、糖を取り込む能力が低いか。まあ要するに「ほっとくと糖尿病になるよ」と言われる状態なんですな。


血糖値が高いとなんで悪いのかって言うと、まあいろいろ言われてるんですが、どうも血液中の糖がタンパクにくっついて(糖化)タンパクの機能を失わせたり壊れやすくしたりしてるのが原因ではないかと。
これが血管で起こると動脈硬化なんかの原因に、神経で起こると神経症状(糖尿になると「目が見えなくなる」とか「足の感覚がなくなる」とかいいますな)が起こるなんていわれてます。
んで、この神経症状が脳に悪さをするせいで認知症になるのではーなんてことが以前からいわれてたんですが、今回の研究でそれが疫学的に明らかになった、と。


特に、糖尿病でなくても高血糖状態だと認知症になりやすいってのはけっこう怖い話ですな。
何が怖いって、高血糖状態って自覚症状がほとんどないんですよ。
高血糖が進んだ状態である糖尿病でさえ、足が壊死するまで気がつかなかったなんて話がザラにあるんですから。いわんやその手前の症状である高血糖をや。
高血糖かどうかは血液検査なんかでHbA1cを調べたりするとわかるんですが、でも血液検査なんて「健康診断で年1回」とかじゃないですか? けっこう見落されちゃったりするようなんですな。


じゃあどうすればいいのっていうと、ふだんの節制と、定期的な運動とが一番安上がり、というすごくつまんねえ結論になるんですけどね。
血糖値は薬でも下げられるけど、やっぱりそれは自然な形じゃないんでどっかしらに負担かけちゃうしね。




なので将来ボケたくない人は走りましょう


ええ、宣伝ですともさw





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