2011年12月22日木曜日

早生まれは残念なの? -イギリスの調査で回答が-

イギリスの研究所 Institute for Fiscal Studies(IFS)の報告より。
「早生まれの子は成績が低い」ってお話が本当かどうかを調べてみたってお話。

日本でも「早生まれの子は、特に小さいころ、遅生まれの子との差が大きく、劣等感を感じながら育つ」とか、「早生まれだと”お受験”に不利だから、子作りの時期は計算する」なんてアレな話もあるけど、実際にはどうなんだろうか?

http://www.ifs.org.uk/publications/5736


2011年12月9日金曜日

辛さの秘密は虫の死骸にあり

世界”最辛”の唐辛子がオーストラリアで開発されたそうな。

この” Trinidad Scorpion Butch T.”は従来のハラペーニョの300倍の辛さだとか。
うひー。


2011年11月27日日曜日

ガンが見える時代-スプレーでガンを可視化-

東大の浦野泰照教授とNIHの小林久隆主任研究員のグループが、スプレーするだけでがん部位だけを見えるようにする試薬の開発に成功した。
1分くらいで発色し、こんな感じに見えるということでScience Translational Medicineの表紙を飾った。


写真はマウスの腸間膜。緑に光ってるのが腸間膜に転移した卵巣ガンの固まり。
Science Translational Medicine 11/23に掲載された。
http://stm.sciencemag.org/content/3/110/110ra119


2011年11月15日火曜日

高血圧の薬でPTSDを治そう!

ジョンズホプキンス大の研究グループが、マウス扁桃体(恐怖などの処理と記憶処理を行ってる部位)から特定のタンパク除去することで、恐怖の記憶の消去に成功した。
将来、PTSD患者の治療が可能になるかも、というお話、


恐怖って奴はかなり原始的な感情らしく、いろんな生物で恐怖や危険に対する記憶機構って奴が確認されている。まあ、そりゃそうだよね。危険なものを覚えてそれを怖がり、避けるようにならなきゃ、その種は死に絶えちゃうだろうもんなあ。

で、ネズミなんかのそこそこ高等な脳を持つ生き物は、こういう「恐怖」の記憶を扁桃体って部分で行っている。
より正確に言えば、扁桃体は情動を司っているといわれている。つまり、物事を「好き」とか「いい」とか思うような心の動きはここで行われているといわれており、ここから出る「好き」とか「嫌い」って信号が海馬と関わり合い、長期記憶と関わっていると考えられている。
好きな教科の勉強ははかどる、とかイヤな先生に勉強教わってもなかなか身につかないとかってことは、もしかしたらこのへんの作用が関わっているのかもしれないね。


2011年11月8日火曜日

近赤外線でガンを撃つ!

NEJMより、新しいガンの治療法のお話。
近赤外線でガンを攻撃する、新しい(でもないけど)方法の動物実験が成功した、って話だ。


Shedding Light on Immunotherapy for Cancer

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcibr045001


2011年11月2日水曜日

若者の生き血には若返りの力がある

……って、エリザベートさんの喜びそうな話ですが、これがどうも本当だったらしい、というお話。

Study Finds That Injecting Old Mice With Young Mouse Blood Has a Rejuvenating Effect


といっても、生き血を飲んだり生き血の風呂につかったりといったこととは関係ない。

スタンフォード医科大で行われた研究によれば、若いマウスから取った血漿(血液から赤血球や白血球を取り除いた液体部分のみ)を老齢マウスに輸血することで、老齢マウスの脳細胞や神経活動が活発化し、持病だった関節炎が治ったとのこと。
しかも、逆に老齢マウスの血漿を若いマウスに輸血すると脳の神経細胞が減少したり、関節炎が現れたりといったろうかの兆候を示したそうな。

2011年10月23日日曜日

イレッサの副作用が胃薬で防げる?

一時期超期待されてたけど、フタを開けてみたら副作用は多いは効かないわで非常にアレな感じのあるイレッサの、致死的な副作用である間質性肺炎が胃薬であるセルベックスで予防できたってお話。

http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E0E2E2E0858DE0E2E3E2E0E2E3E39180EAE2E2E2


2011年10月16日日曜日

糖尿病患者は2倍ボケやすい -久山町研究

九州大がやってる疫学研究で「久山町研究」てのがあるんですよ。
久山町って街で、生活習慣と病気がどう関係しているかを50年にわたって調べ続けてる

久山町ってのは人口比率とか、職業構成とかが日本の平均に近いそうで、ここで起こってることはおおくの日本人に適用できそうってことと、かなり詳細な調査(たとえば久山町でなくなった方は8割くらいが解剖されて死因が究明されてます)が行われてるってことで、医療者や医学研究者の間ではかなり有名な研究なんですな。

その研究の一環として、60才以上の「認知症ではない」と判定された人を15年追跡調査してみたら、どうやら糖尿病、どころか「糖尿病の手前」といえる耐糖能異常でも認知症発症リスクが高くなってたというお話。

Glucose tolerance status and risk of dementia in the community The Hisayama Study  
Neurology  2011:77.12 1126



2011年10月13日木曜日

鼻の細胞で糖尿病が治る?

またも産総研の浅島先生のグループの研究。Wnt3つながりで。

嗅球(脳の一部で嗅覚を司る)と海馬の神経細胞を使って糖尿病が治せる。かもってお話。



Insulin biosynthesis in neuronal progenitors derived from adult hippocampus and the olfactory bulb


http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/emmm.201100177/abstract

2011年10月6日木曜日

重版だ!

「仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング」
さっそく重版だそうで。

イヤッホゥ!



なんや初動がずいぶん早かったとのこと。
ありがたいありがたい。

買って下さってるみなさんありがとう!
ぜひスロージョギングもはじめてみて下され。

そして買ってない人、立ち読みでもいいからちょっと読んで、走ってごらんな。
秋になって走りやすい気候になってきたし。
マジ、頭の調子よくなるッスよ。
カゼもひかなくなるしな。

2011年10月4日火曜日

「走れば脳が若返る」新たな証拠

産総研ニュースより。

記憶を司る海馬の「アストロサイト細胞」が作るタンパクWnt3が神経細胞が増殖する起点になることは以前から知られていた。

そのアストロサイト細胞が、老化するほどWnt3を作る能力が低下すること、そして、ストレスにならない程度の軽い運動(ランニング)でWnt3を作る能力が向上し、新しく生み出される神経細胞の数が増加することなどがわかった。
http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20110808/nr20110808.html



2011年9月29日木曜日

末期白血病患者を全快させた、遺伝子操作の新技術

ペンシルバニア大の報告。
患者のT細胞に遺伝子改変を施し、体に戻すという新しい治療法により、末期の慢性リンパ急性白血病が完治したとのこと。

より簡単に言えば、T細胞の遺伝子を改変したら、「手の施しようがない」と診断されるレベルの末期白血病患者2人が完治、1人が寛解した、ということになる。

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1103849
(解説:http://journals.lww.com/oncology-times/blog/onlinefirst/pages/post.aspx?PostID=285


2011年9月27日火曜日

ハゲの人に朗報!(かも)--毛が生える「スイッチ」解明される?

ハゲに光を! いや、光が暗くなるって話なんですがね。

毛が生える仕組みが解明されつつある。
米エール大 エリック・ファスタらは、マウスの毛根の周りに存在する”脂肪前駆細胞”が、毛髪の休止期から成長期にかけて活性化し、皮膚幹細胞を再生に関与するとともに、毛包の幹細胞の活性化にも必須であることを明らかにした。
さらに、毛包の活性化にはPDGF(血小板由来成長因子)が必要であることも見いだした。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21884937
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110925-OYT1T00742.htm

2011年9月25日日曜日

昆布で蓄電量10倍に

ジョージア工科大学 コヴァレンコらの報告。
http://www.sciencemag.org/content/early/2011/09/06/science.1209150

いわゆるリチウム電池の負極に昆布などからとれるアルギン酸塩を使用することで、電池の容量が10倍になることがわかったという。

これまでにも、負極に使われている黒鉛のかわりにシリコン粒を使えば電池容量が増やせることはわかっていたが、シリコンは充電すると約4倍にふくらんで電池を破損してしまうため、実用化が難しかった。
しかし、柔軟なアルギン酸塩を使用することでシリコンを使っても破損しない電池を作ることが可能となった。また、いままで黒鉛などの素材をまとめるのに使用していた素材と異なり、アルギン酸塩は水溶性の天然物質なので環境に与える影響が少なく、またいなどの利点がある。製造コストも安くなるなどの利点がある。


2011年9月22日木曜日

世界初の「完全」人工光合成に成功

トヨタ自動車グループの豊田中央研究所(愛知県長久手町)は20日、太陽光、水、二酸化炭素(CO2)のみを使った人工光合成に世界で初めて成功したと発表した。CO2吸収だけでなく、バイオ燃料の生成も可能といい、環境問題の解決策として注目されそうだ。


人工光合成の研究は、1970年代から世界的に進められている。ただ、高濃度の紫外線や、特殊な薬品を使用する必要があり、植物と同様な自然状態での光合成の成功は例がなかった。


今回の研究では、光合成の作用のうち、水を分解して酸素を作り出す反応を半導体に、CO2から有機物を取り出す働きをもうひとつの半導体と特殊な金属に担わせることで「自然状態」での光合成に成功した。有機物として酢酸に似たギ酸が生成されるが、アルコール成分などバイオ燃料の生成も可能という。


梶野勉・主席研究員は「CO2を『資源』に活用できる可能性が開ける。エネルギー問題の解決につながれば」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110920-00000558-san-soci

トヨタ研すげえ! 


2011年9月21日水曜日

サメのエキスでウイルス撃退


サメはウイルスに感染しないとか、他の魚がかかる感染症にかからないことが知られており、体内に独自の免疫機構か、あるいは抗菌物質を持っているのでは、と言われていた。

そんななかで1993年、ジョージタウン大学のザスロフは、ツノザメから「スクアラミン」という、コレステロールと類似した物質を抽出することに成功した。
この物質は癌や目の病気に効果があるらしいことがわかっており、現在すでに数百人規模の臨床試験に供されている。

スクアラミンが注目されているのは、その機能がこれまで知られている抗ウイルス物質はおろか、既知のあらゆる化学物質と異なる点にある。

そして今回、このスクアラミンがヒトに感染するデング出血熱ウイルスやB型・D型肝炎ウイルスの感染を阻止する能力があるようだ、という報告がなされた。
http://www.pnas.org/content/early/2011/09/13/1108558108.full.pdf+html

2011年9月20日火曜日

ゲーマーがHIV患者を救う?

科学者達が10年かかって解析できずにいたある酵素の構造解析を、ゲーマー達が3週間で成し遂げてしまったというお話。


この酵素はM-PMV retroviral proteaseと呼ばれるもので、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのレトロウイルスの分子を切断する酵素であり、うまくすればレトロウイルス感染症の解決につながるかも知れない、というシロモノ。
しかし、酵素が発見され、DNA解析が終了し、アミノ酸構造がわかってから10年もの間、この酵素を臨床に応用することはできないままに終わっていた。


2011年9月19日月曜日

能登雄一のお仕事リスト

■仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング

110910

角川新書から。ビジネスマン向け。
「走る」とどんな効能があるかをまとめたり、どんな走り方がいいかってのを詳細に書いたりって感じのアレ。
スロージョギングは最近NHK(ためしてガッテン)とかでよく見るようになったりしてて、けっこう広まってきてる感じ。
本書はそのスロージョギングの提唱者の田中先生と、脳科学の第一人者久保田先生(じつはマラソン仲間)との共著。
能登はインタビュー&ライティングを担当。福岡まで行って取材--のハズが1時間くらいインタビューしたらあとは福岡うまいもの巡りになったとか、名古屋行きのときは愛知DACと日程がかぶって死ぬ思いをしたとかいろいろ思い出の詰まった一冊。
ホントはもっと人類の進化のこととか書きたかったにゃー。